大洗風説風評注意報
*国道51号線で大洗の海岸沿いを走行中の1枚のスナップ
日本原子力研究開発機構『大洗開発研究センター』の入り口です。
ニュースで話題になっている被ばく事故を起こしてしまった場所。
東海村のJCO臨界事故のバケツリレーが思わず脳裏に浮かんでしまった。
今回の被ばく事故は然るべき徹底調査をして再発防止につなげる大問題。
しかし同時にネット上を流れる無責任な風評による被害も問題だと思います。
放射線量を数値だけで比較するのは意味がない
今回の被ばく事故で一人の作業員の肺から検出されたプルトニウムは2万2千ベクレル。
この数値から体内に取り込んだ放射性物質の総量を36万ベクレルと推計したらしい。
前例のない数値なので人体にとってどのような影響が出るのか専門家も断言できない。
*単に数値だけでの比較*
(1)ラドン温泉の放射線量と比較した場合
メモ放射能泉の定義は以下の数値です今回の36万ベクレルを比率で考えると約26.757マッヘになります。
肺から検出された2万2千ベクレルでも1.635マッヘという数値です。
「そんなラドン温泉は地球上に存在しません」 (参考・増富温泉)
*そもそもプルトニウムとラドンは別物で何回分とか比較できない
(2)甲状腺機能亢進症のアイソトープ治療と数値だけで比較した場合
所謂バセドー氏病と呼ばれる病気の治療に放射能薬が使われる事があります
アイソトープ治療で内服する放射性ヨウ素131は約400~500メガベクレル
*Puの約1.388倍もの放射性物質を経口投与で体内に取り込みます
*しかしアイソトープ治療の内服薬で癌や白血病にはなりません メモ500メガベクレル=100万ベクレル×500=5億ベクレル
「数値だけでは安全か危険かの判断はできませんね」
*放射性物質の種類と半減期を考える
半減期とは放射性同位元素が放射線を出しながら崩壊して半分の量になる期間。
ラジウムが崩壊してできるラドンガスの半減期は約3.8日(3日ちょっと)です。
ただし体内に取り込まれたラドンは2~3時間ですべて体外に出てしまいます。
*プルトニウムはどうなのか?*
今回の事故で作業員の肺から検出された放射性物質はプルトニウム239。
大部分は人工的に生成され自然界にはごく微量しか存在しない物質です。
2万年後はどうなってるかわからないけど過去なら歴史である程度わかります。
縄文時代の始まりが今から約1万4千年前だから2万4千年前は旧石器時代。
*つまり2万2千ベクレルのプルトニウムは2万4千年かけて1万1千ベクレルになる*
*半分の量になるのにそれだけの時間がかかる放射性物質が体内にあるわけです*
「もはや人の生涯ではなく人類の歴史の単位です」
*セシウムとストロンチウム
天然に存在する安定同位体のセシウムやストロンチウムは人体に無害です。
原子炉の中でウラン255が核分裂することで生まれた放射性元素が問題。
水に溶けにくい性質のプルトニウムは体内にどれだけ残るかわからない。
しかし福島の事故で有名になったセシウムとストロンチウムは明白です。
*放射性セシウムは筋肉に蓄積しやすい*
*放射性セシウムの半減期は約30.7年*
*放射性ストロンチウムは骨細胞に蓄積しやすい*
*放射性ストロンチウムの半減期は約28.9年*
*ラドンガスは3時間以内に体外に出る*
*ラドン222の半減期は約3.8日*
放射性同位元素の半減期の計算は(ここ参照)
まとめ的な・・
2万4千年の半減期という途方もないプルトニウムはもちろん論外。
半減期が30年前後の放射性セシウム・ストロンチウムも危険です。
体内に残留している期間は放射線を出し続けるわけですから。
またそれらをベクレルやシーベルトの数値だけで比較するのは無意味です。
ラドンとセシウムやストロンチウムには天と地ほどの性質の差があります。
まして地球年表の一期間に相当する半減期を持つプルトニウムは別物です。
「放射性物質の影響は単に数値だけでは比較できません」